その日、ふと思い立って、会社帰りに、ちょっと目立たない風のゲーム屋兼ラジコン屋という、わけのわからない店に立ち寄った日のことであった・・・・・・・・・・・・・・・・・私はふと、ドリキャスソフトのセガラリー2が欲しくなったので、その店に立ち寄ったのだ。見るからに怪しいその店は、中国人の中年夫婦が経営していた。バーチャガンやら、サターン専用マウスパッドやら、少しマニアックなセガグッズが置いてあり、少しライトユーザーな客に向かって「ゲームボーイよりもゲームギアの方がBETTERだ」などと売りつけていた・・・・・・・・店頭デモはドリームキャストの「戦国TURB」である。どう見ても普通ではない。セガラリー2はありますか、と英語で尋ねると、今、売り切れ中とのこと。明日になれば入荷できるから、予約するなら、20S$(1S$=70円現在)を前払いしてくれれば予約できるという。それも面倒なハナシだ。もっと奥深い森林(注:意味不明と感じたらこっちだぁ!)に行けば、いっぱい店頭に並べてあったぞ。なので、きっぱり断る。すると、店のオヤジはしきりに「戦国TURB」を薦めるではないか。ネットをめぐっているとこのゲームはクソゲー(もしくはバカゲー)の疑いありとのことだったので、やっぱり断る。
そうして、ふと、目立たないように積まれてあったサターンソフトの棚の中に、何か予感のようなモノを感じて目をやると、そこに「デスクリムゾン」の文字が!!私の心にいいようのない動揺が走った。見たところ、ピカピカの新品である。おーのー、なんてことだ。あの伝説のクソゲー、インターネット上のゲームレビューでみんな長々と特集を書かずにはいられないあのデス様と言われているアレが、このシンガポールの怪しい店にたたずんでおられる!ど、どうしたらいいんだ。まず値段を聞いてみる。オヤジは電卓片手に、70S$と言い放つ。
「WHAT!?」
私は驚いた。このオッサン、これをまっさらの正規の値段で売りつけようというのだ。まぁ、日本円に直すと4900円か。日本では980円で買った人もいるというので、やっぱり高いと思う。で、私はこのゲームはとんでもなくクソゲーで、日本ではファーストハンドでも平均1000円から2000円で売られているよー、と英語で力説した。電卓片手な店のオヤジとは、値段交渉が必須条件だ!(実際、日本ではちょっと有名になってしまって、アキバでプレミアもついているというが・・・・ホント?)すると、なぜか急にしおらしくなって、
「30S$。これ以上負けられない」
やけにあっさり引き下がった。最初の値段から半額以下になってますよオヤジ。在庫処理をしたかったんだろうな。それでも日本円に直すと2100円かー。ちびっと高いかもしれないがもう値切りは無理そうなので、その値段で買う。日本で今、何円くらいの価格なんだろうか・・・・・・さっそく家に帰って、まずはプレイする前にインターネットでデスクリムゾンを扱ったページをめぐって、ウラワザ情報をゲットしておく。無敵プレイモードなら、それなりに死なずに世界観を堪能できるだろうと思って、そのコマンド(A+R+上+スタートボタン)に指を合わせておく。起動してしばらくすると、あの伝説のOPデモが始まった。
「それは、10年前のことであった・・・・・・」
な、なんだこの声は!!いかんともしがたいナレーションの声。しかし、これくらいでびびってはいけなかったのだ・・・・・・主人公・コンバット越前のプロフィール。越前康介、コードネーム、コンバット越前!!どーゆぅセンスなんだろうか・・・・・で、バーンと映ったその越前君の姿は, これまた、いかんともしがたい。パンチパーマ、つぶれた顔、変なカラーリングの迷彩服・・・・(なんか、山下画伯の点描絵を彷彿とさせるんですが・・・)左右の両手の長さが違う・・・・・・・・・普通、ポリゴンってカクカクしてるから、どうやったって彫りの深い美形な顔ができるはずじゃん?それが・・・・・・どこをどう見てもカッコわりぃ。これじゃ、なんでもかわいく描いてしまう女性同人作家でさえ、この越前くんをかわいく描くことは永遠に不可能なのではなかろうか!!?そうこうしているうちに、越前くんの第1声。
「ダニー、グレッグ、生きてるかぁ?」
うわぁぁぁぁぁぁぁなんなのこのキンキンしたいっちゃってる少年のような声はっ!
そこへたたみかけるように
「ああ、なんとかな」
「上から来るぞ、気をつけろ!」(なのに、上に登っている!!)
「こっちだぁ、えちぜぇん」(まるで、松本人志氏の外人コントのようなヘンな発音)
と、素人くさい、人を暗黒空間に誘い込むダニーとグレッグと越前くんのデビルボイス・ダイアローグ。
遺跡に辿り着く一行。
「なんだこの階段わぁ」
「とにかく入ってみようぜぇ」
・・・・・・・・・普通、百歩ゆずっても状況からして、「なんだこの建物は?」「遺跡のようだな・・・・」「とにかく、ここに逃げ込もうぜ!」(これもヘンだけど・・・)とかならわかるが、なぜ、まず「階段」に驚くんだよ越前くん・・・・・・・・・・・しかもなぜ、「とにかく入ってみようぜぇ」(しかもなぜか不機嫌そうな中学生の声で・・・・ホントにこいつら傭兵!?)なんなのよ、もーっ!しかし、ここでとどめの一言。
「せっかくだから、俺はこの赤の扉を選ぶぜ!!」
もう、これは会話というものがまったく成り立っていません。そうしてデモが終わると・・・・・
♪デレデレデレ・・・・・・・・・♪と一度聞いたら悪夢にうなされそうな音楽が。いや、その前にエコールのタイトルロゴも夢に出そう(熱した溶岩のようなもののバックに、デスマスクがふたつ。しかもアニメーション。しかも絶対にスタートボタンで飛ばせない)
と、とにかく「照準」と書かれたメニューを選択すると・・・・・・静止画一枚。(フォトショップで大急ぎで描いたような・・・)
「中心を撃ってください」
・・・・・・・・・・撃つ・・・・・何も起こらない・・・・・終了・・・・・・・しかも、一発撃ったら終わり。予習はしていたが、ここまでひどいなんて・・・・・とりあえず、実戦に入ることにする。STEGE1(STAGEのこと。説明書は全部こうミススペルのまま記載されている!!)を選択っと・・・・・・。そうそう、裏技の無敵モードを用意しておかなきゃ。それっ。(A+R+上+スタート)うーん、成功したがどうかわからないので、レゴブロックみたいなのっぺりした顔のヤンキー(ネットでは通称・佐藤。撃ってはいけない民間人となっているが、取説にはなんにもそんなことは書かれていないのだ!さらに、ほとんど敵と見分けがつかず、あらゆる所に徘徊)に向かっていきなりぶっ放す。
「おーのー」(=OH,NO!らしいのだが)な、ななななななんだこのどマヌケな声はぁぁぁぁ!とりあえず、コイツを撃ってもダメージを受けなかったので、無敵モードが成功したようだ・・・・しかし、そうしている間にも
「うわぁっ」「このやろうっ」「やりやがったなぁぁ」
という越前君のかん高い悲鳴がっ!!特に「うわぁっ」は、私はヘッドホンでゲームしてるんですが、耳もとでこの声を聞くと精神的ダメージ∞。これは・・・なんつーか、自虐シュミの変な中学生が、奇声を上げているような・・・・・・多分、普通にプレイしていたら、秒殺されてすでに死んでいると推察される。しかし、無敵モードなら普通にプレイできると思った私がバカでした。ボス戦・・・・・・・暗闇の中から突如現れる。時々撃てるが、殆どダメージが与えられなぃ。しかも、まわりに背景が何もない暗黒空間!!しかもえんえんとザコを呼び続ける!なまじ無敵モードにしてしまったので、全然死ねないよぉーだれかあたしを殺してよぉぉぉ!終わりそうもないので、ステージすっとばしの裏技を使う。(R+Z+START)
次のステージ・・・・・・無敵コマンドに失敗したらしく、開始早々に「うわぁっ!」「このやろう」「やりやがったなぁ」という越前くん(推定年齢13歳・実際年齢29歳)の悲鳴を残し、あっという間にゲームオーバー。
よく見たら、かなり激しくXボタンを押さないと弾がリロードされない・・・・・こりゃ、普通にパッドでクリアしようなんてムリです・・・・・そして、ゲームオーバーになると、無慈悲にエコールロゴのアニメーション(省略不可)に飛ばされる。
もうあきれた私は、一度見たステージはステージすっとばしの術でクリアすることにし、まだ見ていないステージは無敵モードでプレイすることにする。しかし、無敵コマンド入力を何度も失敗、何度もエコールロゴ転送の刑に処せられる。それでもなんとか無敵コマンド入力成功、ステージ2をクリア。ステージ2あたりから、白いヘンなムササビが出て、撃つと「おーのー」と叫ぶ。 コイツも撃ってはいけないらしぃが、なんでこんなヘンな生物を撃ってはいけないんだ!?しかもやっぱりそんな説明は一切されないのだ!!
んで、STEGE3・・・・・・・う、うわぁぁぁぁなんなのこの、丸いボールにタラコ唇で、その上、目が焼きノリみたいになっているヘンな生き物は!!!!いやぁぁこっちに来ないでぇぇぇぇ!!そのヘンな生き物が大量に襲って来て、無敵コマンド入力どころではない。「やりやがったな・・・・」またしても越前くん、秒殺されてエコールロゴが・・・・・・・・・・これにあきれて、STEGE3開始直後にポーズをかけて、ステージすっとばしコマンド実行。こんな作業を繰り返し、エンディングへ。
いきなり「ECOLE STUFF」またしてもミススペルである。いや、英語以外のデスクリムゾン語なのか?これは?もの悲しげな音楽(全編通してそうなんだけどね・・・・・)で、時々挿入されるイメージボード。これってなにかい?パンツァードラグーンのエンディングと演出が激似なんですけど!!しかも、全然意味不明な絵ばっかし。とりあえず「イメージボード」とかラフ案とか見せとけば、かっこよく見えるかもしれないぜぇ。というゴマカシのように見えるのですが・・・・しかも、スタッフロールが終わっても音楽が鳴り止まない。不安になったが、しばらく待つとタイトル画面に。それにしても、タイトル画面も意味不明な手首がピクピク動いて、ファミコン時代のような音楽で、怪しさ大爆発です。デスクリの音楽は、口ずさむとすれば
「でっでっでーん♪」
「にゃにゃーにゃーにゃにゃにゃにゃにゃー♪」
とバカな擬音をつけたくなる程ヘンです。ただし、音はいい。音はね。(曲が、とは決して言わない)それもそのはず、名作サターンゲーム「NIGHTS」や「サクラ大戦」と同じ、CYBERSOUNDのマークがスタッフロールにあった。また、サターン音源は質がいいのだ。(これが、音源の質が若干劣るプレステで発売なんかされようものなら、もっと恐ろしかったろう。)そんなに音の質に気を使っているなら、あの越前くんの声はなんとかならなかったのだろうか? こうして、超特急とはいえ、デスクリを一通りプレイして見ると・・・・・・・・よーするに、うん、なんか時代はシューティングっ!とばかりに、バーチャコップとパンツァードラグーンを融合してみましたぁ、そこへエコール独特のセンス(いい意味ではない)が加わって、げに恐ろしきクソゲーができあがってしまったのだ・・・・・・と推察する。でも、それほどひどくない所もある。1000歩ゆずって、背景はイイ線行ってると思うぜぇ。なんかパンツァードラグーン入ってるけどぉ。しかぁし、モンスターとキャラクターデザインが常識ではもうついて行けない!!!それより何より、越前くんの声が・・バッチリ悪夢にうなされました。おまけに風邪もひいちゃったみたい・・・・・・・がんばれエコール!個性的な(お笑いの)センスを生かして、バシバシ誰も辿りつけない世界を構築してくださいっ!
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